2009-01-16

裁判員裁判は大丈夫か?-法律24-

 今年は,法曹関係者にとって,重要な年です。というのも,皆さん,ご存じのように,来る5月21日から裁判員裁判が始まるからです(正確には,5月21日以降,起訴された事件が対象なんで,実際の裁判は,さらに,1か月後くらい後)。
 で,裁判員裁判に関して,何日か前の朝日新聞に世論調査が載ってましたが,以下,少し見ておこうと思います。

 まず,裁判所から選任手続の呼び出しを受けた場合に,行かないという人が36%もいました。が,これは,是非とも行ってください。でないと,10万円以下の過料に処せられるからです。
 で,参加したくないという人は,約70%もいるようです。その理由は,①正しく判断する自信がない②人を裁くのに抵抗がある③仕事や生活に支障が挙がっていました。

 参加したくない理由として挙がったものについて,少し触れておきましょう。まず,①ですが,何が正しいかなんてのは,誰もわかりません。そもそも,刑事裁判に正解はないのです(明かな冤罪とかは例外)。だいたい,裁判員がそんなに責任を感じることもないんです。刑事訴訟法は,当事者主義を採用していますから,判決がどう転ぼうが,最終的には,検察官や弁護士の訴訟遂行が悪かったということで,いいんじゃないでしょうか?だいたい,胸を張って有罪だ!と言いきれないなら,無罪なんです。そこは,法律と自己の良心のみに従えばいいんです。
 ②については,刑事裁判に対する誤解ですね。罪を憎んで人を憎まずという言葉があるように,別に,裁判って,人を裁いてるわけではないのです。罪を憎んで人を憎まずなんて,簡単に言うなよ!と思った人は,是非,芥川龍之介の「侏儒の言葉」を読んでみてください。

 それにしても,不思議なのは,検察審査会に対しては,不満がそんなに噴出してないんですよね。これって,単に知名度の差なんでしょうか?検察審査会の方が,期間が長いし,今のところ,判断に拘束力がないんで,やりがいもないと思うのですが・・・

 裁判って,傍聴したことのない人の方が多いと思う(ウチの事務所の事務員さんも傍聴したことがない)んで,一度,経験すると価値観が思いっきり変わりそうですが・・・

 ♪Mr.Children「タガタメ」(アルバム:シフクノオト 収録)

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