大阪市を廃止し特別区を設置するいわゆる大阪都構想の2度目の住民投票が11月に行われます。前回の住民投票は僅差で否決されましたが,今回はどうなるんでしょうか?
そんな大阪都構想の是非は,いったん置いといて,その根拠となっている大都市地域における特別区の設置に関する法律の条文を見ておこうと思います。
(1)関係市町村の廃止・特別区の設置
この法律はまず,1条に目的規定を置いています。「道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設ける」手続等について定める法律です。特別区を設置するだけではなく,関係市町村は廃止されることになります。また,道府県が対象とされていることから,東京都は蚊帳の外に置かれています。なので,たとえば,調布市が特別区を設置することはできないんですネ。
(2)関係市町村って?
2条に定義規定があります。まず,①人口200万人以上の政令指定都市が該当します。日本では現在,横浜市,名古屋市,大阪市の3つのみということになります。
さらに,②政令指定都市とその政令指定都市に隣接する同一道府県の区域内の一以上の市町村で人口200万人以上でもいいと規定しています。単独で特別区を設置できる政令指定都市は①の3つしかないので,政令指定都市とその隣の市町村を併せて人口200万人以上にすれば特別区を設置してもいいということです。たとえば,札幌市と小樽市が一緒になって廃止・特別区設置というケースが考えられます。ただし,道府県をまたぐことは認められていません。
協議会とか投票とかの手続的な規定は,無視するとして,住民投票で可決された後の規定を見ておくことにしましょう。
(3)みなし規定
特別区を設置することになる道府県は,10条で「地方自治法その他の法令の規定の適用については、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、都とみな」されます。
都構想賛成派が,都とみなされるから都構想で正しいと主張している根拠規定です。この規定は,地方自治法281条以下の特別区の規定とか,地方税法734条以下の規定を適用するという以上の意味はないんじゃないかと思っています。
(4)やっぱ特別区になりたい
この法律には,特別区が設置された後に,隣接する市町村が特別区を設置できる規定があります。この場合2つのパターンがあります。たとえば,大阪市が廃止されて特別区が設置された後,隣接している吹田市が廃止・特別区を設置しようという例で説明します。
①吹田市を廃止し,2つ以上の特別区を設置する場合
②吹田市を廃止し,吹田市全体で1つの特別区を設置する場合
①の場合は,吹田市民の住民投票が必要になりますが,②の場合は吹田市民の住民投票はなぜか必要とされていません。なので,②の場合は,市議会と府議会で可決されれば,吹田市は廃止され特別区が設置されることになります。 もしかすると,将来,いつの間にか,住んでる市町村が廃止され,特別区が設置されるということもあるかもしれません。
♪Mr.Children「東京」(アルバム:SUPERMARKET FANTASY収録)
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