2016-02-02

就労請求権はない?

 労働者が労働を提供する権利,つまり就労請求権が労働者に認められるのか?という議論があります。

 裁判例では,使用者の基本的義務は,賃金支払義務なので,一般的に労働者には,就労請求権はないとされています。学説の多数説も否定的な考えに立っていると思われます。
 とはいえ,就労請求権が認められないとすると,こんな自体が生じる可能性があります。
 
 たとえば,会社がリストラの一貫として,ある労働者を関連会社へ出向させたとします。労働者は,出向命令が無効だとして会社を訴えます。裁判所は,出向命令が無効だと判断し,判決を言渡し,判決は確定しました。
 めでたし,めでたしと思いきや,まだ問題が残ってます。出向命令が無効になったので,労働者は,元の会社に戻ることになるのですが,元の部署(元の仕事)に戻れるとは限りません。だって,労働者に就労請求権がないので,裁判所も会社に対して労働者を元の部署へ戻せとは言えないのです。
 
 なので,こんなケースでは,会社と労働者との間で和解をして,労働者を元の部署へ戻すことを決めておかないと,真の紛争解決とは言えないわけです。
 
 ちなみに,この話し,特に寓意はないです・・・

 ♪Mr.Children「ロックンロール」(アルバム:SUPERMARKET FANTASY収録)

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