2009-04-19

落書きは一人でしないといけない-法律28-

 昨日,ニュースを見てたら,信号機(?)に,落書きをした人が逮捕されたとか。そのニュースを見て思い出したんですが,落書きは誰かと一緒ではなく,一人でやらないといけません(というか,落書き自体犯罪なので,決してやってはいけない!)。

 なぜ,落書きを一人でしないといけないかというと,一般には知られていませんが,こんな法律があるからです。暴力行為等処罰に関する法律という法律です。
 名前だけ聞くと,落書きと全然関係ない法律のようですが,その法律にこんな条文があります。

 第1条 団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百八条、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ三十万円以下ノ罰金ニ処ス

 刑法261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

 条文だけでは,何のことかよくわからないと思いますので,少し解説することにします。
 まず,刑法261条は,器物損壊罪についての規定です。器物損壊の損壊とは,かなり広い概念で,物理的に破壊しなくても,その物の効用を滅失させればいいと考えられています。なので,落書きも,その物の効用を失わせるので,器物を損壊したことになります。
 で,問題は暴力行為等処罰に関する法律です。極めて大ざっぱに言ってしまえば,要するに,集団的な暴力行為を厳しく取り締まろうという法律です。
 しかし,この法律,意外に適用範囲が広いのです。あまり長くなると,あれなんで,団体の説明は省きます。
 まず,「多数」とは単に集まっていればいいのです(現実に同一場所に集合してればいい。)。目的とかそんなことはどうでもいいのです。
 次に,「数人共同」とは,2人以上が共謀し(現場共謀で足りる),そのうちの2人以上が実行行為に及べばいいと考えられています。

 で,結論ですが,何となく現場に集まり,その人数が多数の威力を示す程度に達している状態で落書きをするか,共謀して,2人以上が実際に落書きをすると暴力行為等処罰に関する法律1条に違反することになります。この法律によると,親告罪ではないので,告訴がなくても起訴することが可能です(通常,器物損壊は親告罪なので,告訴が必要)。
 ってなわけで,落書きは仲間と一緒にやらずに,一人でやらないといけないという話でした。

 ※落書き自体,立派な犯罪です!!

 ♪Mr.Children「Any」(アルバム:シフクノオト 収録)

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