2009-04-18

法学部生は友だちをなくす-法律27-

 すでに,4月も中旬になり,桜も散ってしまいました。今さらですが,4月といえば,新生活スタートということで,この4月から法学部生になったという人も多いのではないでしょうか?
 ところで,大学の法学部に入学すると,入学して早々のガイダンスみたいなんで,日常生活のあらゆることを法律的に考えろ!とか言われます。が,しかし,法律的に考えすぎると,友だちなくしますというお話です。

 たとえば,友だち何人かで,ごはん屋さんに,昼食を食べに行きます。ところが,食べ終わって気がつくと,財布にお金がありません。レジをみると,食べ終わった客が列をなしていて・・・これは,このままフェイドアウトしちゃうと,バレないし,法律的には犯罪ではない(利益窃盗は処罰されない)ので,帰っちゃおうかと一瞬頭によぎります。
 しかし,ごく普通の感覚を持った人なら,「今度,何かおごるんで。」とか言って,友だちにお金を借りるか,ここはおごってもらうはずです。

 で,ここで問題なのは,今度,何かおごるとか言っときながら,いつまでたってもおごらないことがあることです。それを友だちに責められるとします(特に,上記でおごってもらってる場合は,責められる)。そんなとき,どうしますか?
 
 この場合,法律的には,まったくおごらなくても問題ありません。なぜ,そんな結論になるんでしょうか?
 そもそも,今度,何かおごるというのは,贈与契約の一種です。契約が有効であるということは,最終的に,裁判所により契約内容が実現されることを意味します。要するに,任意に履行しない場合は,裁判手続により強制的に履行させることに契約の意味があるわけです。
 ところが,今回は,何を履行したらいいのかが不明です。何かおごるという契約ですが,何かって何?という問題です。
 裁判所に訴える場合,給付の内容が特定されていないといけません。でないと,強制執行ができないからです。つまり,何かではダメなんです。

 とかいうことを説明すると,たいていの場合,理解されません。で,あげく法律とかそんな問題じゃないだろ!という法律的には無意味な反論をされるのが,オチです。あくまでも,日常生活を法律的に考えただけなんですが・・・
 ってなわけで,この話の寓意は,法学部生が「今度,何かあごるから~」とか言ってきたら,「何かって?」ときき返さなければならないということです。

 ♪Mr.Children「独り言」(アルバム:B-SIDE収録)

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