2011-07-24

強制起訴と言ったって,どうしょうもない。

 あれだけ大騒ぎしたのに,すっかり過去の話になっていますが,尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件で,船長に対して検察審査会で2度目の起訴議決がされました。なので,今後は,指定弁護士が船長を起訴するんですが・・・

 公訴の提起は起訴状の提出によって行われます。そして被告人に防御の機会を与えるため,裁判所は起訴状謄本を直ちに被告人に送達しなければなりません。
 公訴提起後,2か月以内に起訴状謄本の送達ができなかったときは,公訴提起は遡って効力を失い,公訴棄却決定がなされ,事件終了です。

 起訴状の送達は,民訴法101条により,交付送達が原則です。具体的には,郵便法66条の特別送達で行います。
 問題は,送達する場所で,民訴法103条1項は,受送達者の住所,居所,営業所または事務所と規定されてます。船長は,とっくに中国へ帰ってるんで,中国へ送達しないといけないわけです。外国への送達は,民訴法108条の準用により,外国の裁判所への嘱託または在外領事等に嘱託して行います。

 日本と中国の間には,日・中刑事共助条約があり,この条約に基づいて手続きが進んでいきますが,この条約は不完全で,起訴状が送達される見込みはなさそうです。指定弁護士のモチベーションも上がんないんじゃないでしょうか?公訴棄却前提に起訴せざるを得ないなんて・・・

 ♪BUMP OF CHICKEN「ハンマーソングと痛みの塔」(アルバム:orbital period収録)

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