2010-09-21

あまりの展開について行くのがやっとだが,少し戯言を。

 いわゆる郵便不正事件に関して,元厚労省局長の無罪が確定しました―検察が上訴権を放棄した―。判決書がまだ裁判所のホームページにアップされてないんで,判決の詳細を把握してませんが,当然といえば当然でしょう,たとえ,急転直下の出来事がなかったとしても・・・

 すでに大体的に報道されてますが,捜査担当の主任検事が証拠隠滅の疑いで逮捕されました。これについては,散々批判されてるんで,青天霹靂にわか雨では,置いとくことにします。代わりにスポットを当てるのが逮捕です。
 逮捕って割と簡単にできそうなイメージ―刑事ドラマの影響?―ですが,身体拘束を伴うので,そんなにやすやすとできてもらっては困るんで,逮捕の要件が法律で規定されています。刑訴法の規定は以下のとおりです。

 第百九十九条  検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。
   裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委 員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がな いと認めるときは、この限りでない。

 刑訴法の規定だけを見ると,簡単に逮捕できちゃうように読めます。が,2項の但書を見ると明らかに逮捕の必要がないときは逮捕できないことになってます。ポイントは逮捕の必要性です。これは刑訴規則に規定があります。

 第百四十三条の三 逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の 事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならな い。

 さて,本題ですが,主任検事に果たして逮捕の必要性が認められるんでしょうか?「罪証隠滅の虞」はないんでしょうね,たぶん―もう最高検が押さえちゃってると思われる―。そうすると,あとは「逃亡の虞」ですが・・・う~ん,勾留の理由よりも要件が緩いんで,虞はあるちゃあるのかぁ~この辺,結構,微妙だとは思いますが,事態が事態だけに―なんせ,諸般の事情を考慮しますからね―逮捕もやむなしといったところでしょうか?いや,逃亡の虞はないと思うけどなぁ~
 それにしても,最高検って捜査するんですネ。担当検事が捜査の現場―その現場じゃなくて―にいたのって,結構,前だと思うんですが,大丈夫なんでしょうか?

 ♪BUMP OF CHICKEN「乗車券」(アルバム:ユグドラシル 収録)

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