2020-04-07

緊急事態宣言が出されたら,休業手当の支払義務はなくなる?

 2020年4月7日,新型コロナウィルスの爆発的な感染拡大により,新型インフルエンザ特措法に基づき緊急事態宣言が出させることになります。
 緊急事態宣言により,外出自粛要請,商業施設や娯楽施設等の幅広い業種での休業要請ができるようになります。
 そんな中,一部,報道によると,緊急事態宣言後に休業要請に従い,休業した場合,休業手当を支払わなくていいと厚労省が見解を出しているそうです。

 休業手当に関しては,新型コロナウィルスによる出勤停止と給与の支払で少し触れています。
 休業手当は,使用者の帰責事由による休業の場合に,労働者に平均賃金の60%以上の手当の支払いを義務付け,労働者の最低限の生活を保障するものです。
 そもそも,民法上,使用者の帰責事由によって,労働者の労務提供債務が履行不能になった場合,給与全額を支払う必要があります。この休業手当の支払義務は,民法上の帰責事由をより広く認めるものと解されています。
 つまり,使用者に故意・過失がなくて,使用者に防止することが困難なものでも,使用者側の領域で生じたものといえる経営上の障害も帰責事由に含まれます。
 で,休業手当の支払が必要になる帰責事由の一つとして,「督官庁の勧告による操業停止」が挙げられています。
 とすると,緊急事態宣言後の休業要請は,監督官庁の勧告による操業停止に該当するようにも思えます。もっとも,巨大な地震や大型の台風といった不可抗力は,帰責事由に該当しません。新型コロナウィルスが不可抗力に当たるとするなら,休業手当の支払義務はなくなります。ただ,新型コロナウィルスを不可抗力と位置付けるなら,緊急事態宣言の前後で区別するのはおかしいということになります。

 って書いてたら,厚労相が,緊急事態宣言が出ても休業手当の支払義務を一律で除外するわけではないと表明しました。ここまでの労力はなんだったんだ…
 一言付けたしておくと,新型コロナウィルスが不可抗力に当たるとしても,在宅勤務ができる(頑張ったらできる場合も含む)にもかかわらず,在宅勤務をさせず漫然と休業させたら,休業手当を支払う必要があります
 

 ♪Mr.Children「さよなら2001年」(アルバム:B-SIDE収録)

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