2020-04-21

マスクが送り付けられたら,2週間手を付けずにじっと様子を見てみよう

 新型コロナウィルス対策の目玉として,各世帯に2枚ずつアベノマスクと揶揄されている布マスクが配布されます。
 そんな中,マスクが勝手に送り付けられ,高額な代金を請求されるといった消費者被害も出始めているようです。ネガティブ・オプションっていうヤツですネ。

 そもそも,売買契約に限らず,契約は,①申込と②承諾の意思表示が合致しないと成立しません。マスクの売買でいうと,①マスク1箱or1枚〇〇円で売るよという意思表示と②マスク1箱or1枚〇〇円で買うよという意思表示が必要です。
 なので,一方的にマスクを送り付けられた場合,マスクを買うよという申込も承諾の意思表示がないので,売買契約は成立してません
 ネガティブ・オプションは商品であるマスクだけ送り付けるということはなく,何日以内に返品しないと契約成立したとみなすとかいう書面が同封されています。そんな書面があったとしても,マスクを買うよという意思表示はしておらず,どっちにしろ,売買契約は成立していません。なので,無視しておけばいいということになります。代金を支払う義務もないし,返品する義務もないのです。

 ただ,民法上は,困ったことが起きます。送り付けられたマスクの所有権は送り付けた業者にあるので,勝手に処分できません
 そこで,特商法59条に商品返還請求権の喪失について規定があって,商品の受取日から14日経過するまでに業者が引取りをしない場合は,業者の商品返還請求権は消滅します。商品返還請求権が消滅したら,自由に処分しても問題はありません
 なお,業者に引取り請求をした場合,14日の期間が引取請求日から7日に短縮されますが,個人情報を提供することになるので,あえて引取請求する実益はないように思います。
 ちなみに,商品を使っちゃうと,承諾の意思表示したよねということになりかねないので,2週間手を付けずに様子を見るのがいいかと。

 ♪Mr.Children「Prism」(アルバム:DISCOVERY収録)

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