新型コロナウイルス感染症緊急経済対策が閣議決定され,特別定額給付金(仮称)が給付されることになりました。国民1人当たり,10万円を給付するというあれです。
総務省のHPに概要が掲載されています。給付対象者は,2020年4月27日の基準時に住民基本台帳に記録されている人で,受給権者は,給付対象者の属する世帯の世帯主ということです。
世帯主がまとめて申請する形式になると報道されてました。が,総務省のHPを見ると,法的には,単に世帯主が手続を代行するのではなく,そもそもの受給権者が世帯主ということになります。つまり,世帯主以外の人は,受給権者ではない,何の権利もないということです。
もっとも,配偶者からの暴力を理由に避難して,配偶者と生計を別にしている者は,ちゃんと申請すれば,特別定額給付金を受け取れるようです(詳細は総務省HP)。
ところで,この特別低額給付金ですが,受給権者が世帯主であることに対して,なぜ,世帯主に?という批判や疑問が少なからずあります。そもそも,世帯とか,世帯主ってどういう意味なんだろうと思い,ちょっと調べてみました。
住民基本台帳法を見ると,住民票の記載事項に世帯主とはありますが,その定義規定はありません。どうやら,世帯,世帯主の定義規定はないようです。
広辞苑によると,世帯は所帯と同じということで,所帯とは住居及び生計をともにする者の集団とされています。で,世帯主は,世帯の中心となる者とされています。
判例はというと,この点に触れた最高裁判決はないようです。下級審では,仙台高裁平成4年1月10日という判決があります。同判決は,以下のように判示しています。
「住民登録法、住民基本台帳法等には、世帯及び世帯主について格別の概念規定は見当たらず、社会通念による事実認定にまかされ、住民登録法下では「世帯主とは世帯の主宰者であり、当該世帯の生計を維持する責任者である。戸主とか戸籍の筆頭者が当然に世帯主となるのではない。父や夫が当然に世帯主となるのでもない。妻や子が世帯の生計の維持について責任を負うものであるときは、夫や父ではなく、妻または子がそれぞれ当該世帯の世帯主である。」などとされ、生計維持者が世帯主として扱われていた。」
「住民基本台帳法下になってからは、例えば自治省行政局長等から各都道府県知事あて昭和42年10月4日付通知のうちの住民基本台帳事務処理要領では、住民票上の世帯主を決めるにつき「世帯とは、居住と生計をともにする社会生活上の単位である。世帯を構成する者のうちで、その世帯を主宰する者が世帯主である。」「その世帯を主宰する者とは、主として世帯の生計を維持する者であって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当とみとめられる者と解する。」旨解説されていて」,
「住民基本台帳下の本件当時における住民票上の世帯主の認定については、「主として世帯の生計を維持する者」であることと同時に、「世帯を代表する者」であることが社会通念上認められなければならないということが一般的行政解釈のようである。」(併存説というらしい。)
「世帯主」概念は一義的に明確なものであるという訳ではない。世帯主であるかどうかということを社会通念に従って認定するといっても、その概念は生計維持者としての立場を重視する場合と世帯の代表者としての立場を重視する場合とで相違し、その用いられる場面によって異なるものであると解される。」
ということで,世帯主っていっても,①世帯を代表する人っていう意味で使う場合もあれば,②主として世帯の生計を維持してる人っていう意味で使ってる場合もあるから,その時々で,制度趣旨に応じて判断しようねということのようです。
とすると,今回の特別低額給付金の給付に関しては,収入要件を設けずに一律に給付するので,生計維持者としての立場は何ら重視されないので,単に事務手続の簡便さを意図した世帯の代表者という側面しかないということですね。
♪Mr.Children「花 -Memento Mori-」(アルバム:深海収録)
なるべく,語感と言うか語呂のいい言葉を探しました。とにかく探しました。で,見つけました!?青天霹靂にわか雨!!
青天の霹靂なんていうから,何事かと思ったら・・・にわか雨って!?
青天霹靂にわか雨。深いんだか,浅いんだか,そんな感じの取りとめのない法律家のタダの戯言(ざれごと)です。
2020-04-25
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