2020-04-14

リツイートしてみたけれど,必ずしも賛同したわけではない

 Twitter上の投稿が名誉棄損だとして,損害賠償を求めた訴訟に対して,その訴訟はスラップだとして反訴として損害賠償を求めた事件,大阪地裁令和元年9月12日判決の気になる判示を紹介します。

 そもそも,本件で被告は,自分のTwitterで自分から積極的にツイートしたわけではなく,他人の投稿をコメントを付けずにリツイートしたのみでした。
 で,裁判所によると,「他者の元ツイートの内容を批判する目的や元ツイートを他に紹介(拡散)して議論を喚起する目的で当該元ツイートを引用する場合,何らのコメントも付加しないで元ツイートをそのまま引用することは考え難く,投稿者の立場が元ツイートの投稿者とは異なることなどを明らかにするべく,当該元ツイートに対する批判的ないし中立的なコメントを付すことが通常であると考えられる。したがって,ツイッターが,140文字という字数制限のあるインターネット上の簡便な情報ネットワークであって,その利用者において,詳細な説明や論述をすることなく,簡易・簡略な表現によって気軽に投稿することが想定される媒体であることを考慮しても,上記のような,何らのコメントも付加せず元ツイートをそのまま引用するリツイートは、ツイッターを利用する一般の閲読者の普通の注意と読み方を基準とすれば,例えば,前後のツイートの内容から投稿者が当該リツイートをした意図が読み取れる場合など,一般の閲読者をして投稿者が当該リツイートをした意図が理解できるような特段の事情の認められない限り,リツイートの投稿者が,自身のフォロワーに対し,当該元ツイートの内容に賛同する意思を示して行う表現行為と解するのが相当である」そうです。

 長々と引用しましたが,要は,①ある投稿に対して,議論や批判のためにリツイートするなら,何らかのコメントを書くはず。だから,②何のコメントもせずにリツイートするのは,その投稿に賛同する趣旨だ。ということのようです。
 う~ん,この事実認定は,雑じゃないかと思うんですが,Twitterのユーザーは,そういう感覚なんだろうか?

 ♪Mr.Children「インマイタウン」(アルバム:[(an imitation) blood orange]収録)

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