2016-12-21

割切れない思いは,切り捨てればいいとは限らないといっても過言ではない

 残業代(正確には,時間外割増賃金)は,たいていの場合,次のように計算します。

 ① 算定基礎額を計算しよう!
  通常,月によって所定労働日数が異なるので,
  月給×12÷(1日の所定労働日数×年間所定労働日数÷12) =算定基礎額

 ② 残業代を計算しよう!
  算定基礎額×時間労働時間
  1日8時間超過の時間外労働時間と1週40時間超過の時間外労働日数を区別することをわすれずに。

 と,計算すると,1円以下の端数が生じることになります。端数をどう処理するんだろうか?と一瞬,考えましたが,切り捨てておけば,過大請求にならないから,裁判所も文句言わないよネ!ということで,切り捨ててることが多いと思います。残業代に限らず,金銭債権を相続分で請求するという場合も同じ問題が生じてきます。

 ところで,通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律という法律があります。この法律によると・・・

 
第二条  通貨の額面価格の単位は円とし、その額面価格は一円の整数倍とする。
 一円未満の金額の計算単位は、銭及び厘とする。この場合において、銭は円の百分の一をいい、厘は銭の十分の一をいう。 
 第一項に規定する通貨とは、貨幣及び日本銀行法 (平成九年法律第八十九号)第四十六条第一項 の規定により日本銀行が発行する銀行券をいう。
 

 なるほど,1円以下は通貨としては,扱わないわけです。でも,計算上は,銭・厘を使いますよと。でもって,3条には,

第三条  債務の弁済を現金の支払により行う場合において、その支払うべき金額(数個の債務の弁済を同時に現金の支払により行う場合においては、その支払うべき金額の合計額)に五十銭未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が五十銭未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を切り捨てて計算するものとし、その支払うべき金額に五十銭以上一円未満の端数があるとき、又はその支払うべき金額の全額が五十銭以上一円未満であるときは、その端数金額又は支払うべき金額の全額を一円として計算するものとする。ただし、特約がある場合には、この限りでない。
 前項の規定は、国及び公庫等(国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律 (昭和二十五年法律第六十一号)に規定する国及び公庫等をいう。)が収納し、又は支払う場合においては、適用しない。

 おっ,端数の取扱いがちゃんと規定されてますネ。回りくどい書き方をしてますが,要するに,1円以下の端数は四捨五入すればいいんですよネ!ん,四捨五入?
 ということは,切り上げる場合が出てくるということです。そうすると,金銭債権の相続分の請求だと,個々の請求を合計すると,元の金銭債権の金額を上回ることもありうるということか。
 

 ♪Mr.Children「NOT FOUND」(アルバム:Q収録)

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