2016-04-18

数字は疑ってかかるに越したことないといっても過言ではない

 TBSの日曜劇場で99.9 -刑事専門弁護士-が始まりました。リーガルハイ以上の作品にはならないだろうなと思いつつ,録画予約はしておきました。まだ観てませんが,弁護士業界での評判は,悪くなさそうです。
 
 タイトルの99.9%は,日本の刑事裁判における有罪判決の割合ということらしいのですが,ホントにそうなのか?という話しです。司法統計を見ようと思いましたが,法務省の検察統計の方が,うまくまとめてそうなので,検察統計の数字を拾ってみましょう。

 平成26年1年間に全国のP(検察)庁で取扱われた被疑事件の被疑者数は,123万8057人でした。
 平成26年にP庁で,何らかの処分が行われた既済となった被疑事件の被疑者数は,124万4330人でした。そのうち,起訴されたのは,37万7539人なので,約30.3%です。すなわち,約62.1%の77万2221人は不起訴になっています。
 無罪放免というわけでは決してないですが,被疑者の60%以上は,起訴されず,起訴されない以上,もちろん刑罰も受けることなく,事件は終わっています。
 
 この数字は,全体の数字なので,在宅事件も含んでいます。なので,身柄事件について,数字を見ておくことにします。なお,統計上は,交通事犯が除かれています。
 平成26年の既済事件のうち,勾留された被疑者数は,10万6825人です。そのうち,起訴されたのは,61.4%の6万5556人です。不起訴になったのは,31.8%の3万3964人です。
 身柄事件でも,被疑者の約30%は,起訴されずに,事件が終わっているわけです。

 これまでは,捜査段階の数字を拾いました。問題は,刑事裁判ですよね,ということで,刑事裁判の数字も拾っておきましょう。
 平成26年に確定判決を受けた人は,33万7794人です。そのうち,無罪判決を受けたのは,116人になります。ということは,約0.034%ということになります。100から0.034を引くと,99.966になります。おっ,タイトルに偽りなし

 ちなみに,司法統計の地裁の通常第一審事件の終局総人員は,5万2502人で,うち無罪判決が109人なので,約0.2076%・・・あれっ?
 そもそも,否認事件じゃないと無罪判決はありえないので,否認事件の数はというと,5221人で,うち無罪事件が109人だから・・・約2.08%おいおい!
 
 ♪Mr.Children「ROLLIN' ROLLING ~一見は百聞に如かず」(アルバム:REFLECTION {Naked}収録)

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