2010-08-08

果たして,結末は?

 先日,ファイル共有ソフトWinnyを介して,感染するコンピュータウィルスを作成し,他人のPC内のデータを破壊したとして,器物損壊罪で逮捕されるというニュースがありました。
 結構,大体的に報じられ,一件落着みたいな雰囲気ですが,この事件,そうすんなりといくんだろうか?と疑問が。

 この事件のハードルはもちろん,器物損壊罪が成立するかどうか?です。刑法の条文はこちら。

 第二百六十一条  前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

 器物損壊罪の客体は「他人の物」なんです。データは物なのか?というのが,裁判で争われるコトになるのでしょう。
 というのも,財産犯の客体である「財物」や「物」とは,有体物―空間の一部を占めて有形的存在を有するもの―のことです。具体的には,固体,液体,気体に限定されます。
 以上の定義からすると,データは有体物ではないんで,器物損壊罪の客体ではない,つまり,器物損壊罪は成立しないのではないかという結論に至りそうです。この辺をどうクリアーするのかが注目です。

 とここまで書いてニュース記事をいろいろ見ると,このウィルスって,PC内のほぼすべてのデータを破壊し,修復するのが不可能と報道されてます。だったら,ハードディスク自体が使用不可能―効用が滅失した―ってコトで,すんなり器物損壊でいけるじゃないかという結論に至りました。データの損壊ではなくて,ハードディスクの損壊です。逮捕状もそうなってるんでしょうね,きっと。

 ハードディスクの損壊なんで,ハードルも高くなく,裁判も実にあっさり終了してしまうんですね。それにしても,器物損壊罪って,親告罪なんで,被害者って告訴してるんですよね。Winny使ってるんで,著作権法がつきまといますが,そこんとこは,大丈夫だったんでしょうか?そうか,違法ファイルも破壊されちゃったんですね,証拠が・・・

 ♪Mr.Children「シーラカンス」(アルバム:深海 収録)

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