2011-04-18

まわりまわって弁護士に!

 以前,予備試験の合格者数を個人的に予想しましたが,そんな予想よりも出願者数が少なかったコトの方がインパクトがありました。法科大学院の志願者が減少しているコトと合わせると,法曹―というか,弁護士―自体が敬遠されてるんだと思います。

 法曹が敬遠されてるのは,法科大学院の学費がバカにならないのと晴れて弁護士になったとしても就職先がないということが影響しているんでしょうね。法科大学院の学費の点は,予備試験をパスすれば解消されますが,実質,2回も司法試験を受けるのと等しいですからねぇ~それに予備校の学費だって,安くはないハズです。

 とはいえ,司法試験に受からなくても弁護士になることはできます。ただし,おまけみたいなもんで,弁護士になるのが目的だと,かなりメンドクサイですが・・・

 (最高裁判所の裁判官の職に在つた者についての弁護士の資格の特例)
第六条  最高裁判所の裁判官の職に在つた者は、第四条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有する。

 唐突に出てきた条文ですが,弁護士法の条文です。最高裁判事になれば,司法試験に受からなくても弁護士になれます。というのも,裁判所法の条文によると,

第四十一条 (最高裁判所の裁判官の任命資格)  最高裁判所の裁判官は、識見の高い、法律の素養のある年齢四十年以上の者の中からこれを任命し、そのうち少くとも十人は、十年以上第一号及び第二号に掲げる職の一若しくは二に在つた者又は左の各号に掲げる職の一若しくは二以上に在つてその年数を通算して二十年以上になる者でなければならない。
 高等裁判所長官
 判事
 簡易裁判所判事
 検察官
 弁護士
 別に法律で定める大学の法律学の教授又は准教授

 ということで,識見の高い,法律の素養のある40歳以上の人は,最高裁判事になれる可能性が!法曹資格がなくていいんですね。実際,外交官とかが最高裁判事になってます。

 というのは,ちょっとした前フリで,本題は,最高裁判事じゃなくて,弁護士法5条です。
 
第五条  法務大臣が、次の各号のいずれかに該当し、その後に弁護士業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了したと認定した者は、前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有する。
 司法修習生となる資格を得た後に簡易裁判所判事、検察官、裁判所調査官、裁判所事務官、法務事務官、司法研修所、裁判所職員総合研修所若しくは法務省設置法 (平成十一年法律第九十三号)第四条第三十六号 若しくは第三十八号 の事務をつかさどる機関で政令で定めるものの教官、衆議院若しくは参議院の議員若しくは法制局参事、内閣法制局参事官又は学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)による大学で法律学を研究する大学院の置かれているものの法律学を研究する学部、専攻科若しくは大学院における法律学の教授若しくは准教授の職に在つた期間が通算して五年以上になること。
 司法修習生となる資格を得た後に自らの法律に関する専門的知識に基づいて次に掲げる事務のいずれかを処理する職務に従事した期間が通算して七年以上になること。
 企業その他の事業者(国及び地方公共団体を除く。)の役員、代埋人又は使用人その他の従業者として行う当該事業者の事業に係る事務であつて、次に掲げるもの(第七十二条の規定に違反しないで行われるものに限る。)
(1) 契約書案その他の事業活動において当該事業者の権利義務についての法的な検討の結果に基づいて作成することを要する書面の作成
(2) 裁判手続等(裁判手続及び法務省令で定めるこれに類する手続をいう。以下同じ。)のための事実関係の確認又は証拠の収集
(3) 裁判手続等において提出する訴状、申立書、答弁書、準備書面その他の当該事業者の主張を記載した書面の案の作成
(4) 裁判手続等の期日における主張若しくは意見の陳述又は尋問
(5) 民事上の紛争の解決のための和解の交渉又はそのために必要な事実関係の確認若しくは証拠の収集
 公務員として行う国又は地方公共団体の事務であつて、次に掲げるもの
(1) 法令(条例を含む。)の立案、条約その他の国際約束の締結に関する事務又は条例の制定若しくは改廃に関する議案の審査若しくは審議
(2) イ(2)から(5)までに掲げる事務
(3) 法務省令で定める審判その他の裁判に類する手続における審理又は審決、決定その他の判断に係る事務であつて法務省令で定める者が行うもの
 検察庁法 (昭和二十二年法律第六十一号)第十八条第三項 に規定する考試を経た後に検察官(副検事を除く。)の職に在つた期間が通算して五年以上になること。
 前三号に掲げるもののほか、次のイ又はロに掲げる期間(これらの期間のうち、第一号に規定する職に在つた期間及び第二号に規定する職務に従事した期間については司法修習生となる資格を得た後のものに限り、前号に規定する職に在つた期間については検察庁法第十八条第三項 に規定する考試を経た後のものに限る。)が、当該イ又はロに定める年数以上になること。
 第一号及び前号に規定する職に在つた期間を通算した期間 五年
 第二号に規定する職務に従事した期間に第一号及び前号に規定する職に在つた期間を通算した期間 七年

 つらつらと書いてますが,司法修習生となる資格を得たというのは,要は司法試験に受かったというコトです。なので,今回はスルーします。
 本題は,3号です。特任検事を5年以上すれば,弁護士になれるという規定です。検察事務官―に限らないが―から副検事になり,副検事から特任検事になるというルートがあります。
 もっとも,日弁連の研修を受けないとダメで,法務大臣の認定を受けないとダメなんですけどね。
 それにしても,特任検事ダケ特別扱いされてるんですよねぇ~なぜか?裁判所書記官から簡裁判事っていうルートもあるんで,そっちも認めてよさそうなものですが,線引きは一体?

 ♪Mr.Children「彩り」(アルバム:HOME収録)

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