2011-04-10

そんなコトは想定していないんだけど・・・

 以前に,青天霹靂にわか雨で逮捕についてちょっと書きましたが,今回は,勾留の話です。
 震災の影響で,福島地検いわき支部等が勾留中の被疑者を釈放したコトが,ちょっとした波紋を広げています。が,刑訴法をちょっとでもかじった人は,いや,それを言っちゃったら・・・というなコトを平気で言っているトコの方が問題なのかもという話です。

 震災の影響で,福島地検いわき支部等が勾留中の一部被疑者を釈放しましたが,その理由がちょっと・・・報道によると,身柄の安全確保が困難なのと震災の影響で裏付け捜査が困難だからというのが釈放の理由のようです。
 で,釈放された被疑者が住居侵入で逮捕されたとか,軽微ではない事案が含まれているとかで問題視されています。

 勾留も逮捕同様というか,逮捕よりも簡単にできないようになっています―法律上はという話―。勾留は,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり,かつ,①定まった住居を有しない,②罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある,③逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるの①~③のいずれかが一つの勾留の理由があることが要件となります。その他に勾留の必要性があること等も要件ですが,ここでは省略します。

 今回,釈放されたのは,一部の被疑者です。全員ではないので,どこかで線引きされているはずです。捜査のために必要があるからという理由で勾留することはできないんで,刑訴法に忠実に考えると,勾留の理由―又は必要性―がないからと解さざるを得ません。検察官が勾留請求しといて,勾留の理由はありませんでしたってコトは言わないと思うんで,勾留の必要性―省略しといて持ち出すのは気が引けるが―がなくなりましたというのが現実的ですネ。じゃぁ,報道されてる釈放理由は,一体?
 また,被疑者の再犯の防止といった特別予防や予防拘禁を理由とした勾留も認められてません。なので,釈放した被疑者が逮捕されてもそれは,結果論にすぎないと言わざるを得ません。

 法務相が,今回の被疑者の釈放について点検―検証のこと?―したいとか言ってるようですが,検証するのはいいんですが,罪が軽微かどうかとか,被疑者が釈放後に罪を犯したとか,治安がとかは,検証の対象外となるハズです。だったら,何を検証するんだ,一体?

 ♪Mr.Children「ニシエヒガシエ」(アルバム:DISCOVERY収録)

0 件のコメント:

今さらながら,都構想の根拠法を見ておこう

  大阪市を廃止し特別区を設置するいわゆる大阪都構想の2度目の住民投票が11月に行われます。前回の住民投票は僅差で否決されましたが,今回はどうなるんでしょうか?  そんな大阪都構想の是非は,いったん置いといて,その根拠となっている大都市地域における特別区の設置に関する法律の条文を...