2011-04-23

めぐりめぐって裁判官に!

 前回,司法試験を経ずに弁護士になれるというような話をしました。司法試験を経ずに弁護士になれるんだったら,裁判官や検察官にもなれるんじゃないかということで,今回は,裁判官についてです。

 裁判官といっても,いろいろと種類があるので,一筋縄ではいきません。まずは,最高裁裁判官からです。前回も紹介した裁判所法の条文です。

 第四十一条 (最高裁判所の裁判官の任命資格)  最高裁判所の裁判官は、識見の高い、法律の素養のある年齢四十年以上の者の中からこれを任命し、そのうち少くとも十人は、十年以上第一号及び第二号に掲 げる職の一若しくは二に在つた者又は左の各号に掲げる職の一若しくは二以上に在つてその年数を通算して二十年以上になる者でなければならない。
 高等裁判所長官
 判事
 簡易裁判所判事
 検察官
 弁護士
 別に法律で定める大学の法律学の教授又は准教授

 次に,高等裁判所長官と判事についてです。
 
 第四十二条 (高等裁判所長官及び判事の任命資格)  高等裁判所長官及び判事は、次の各号に掲げる職の一又は二以上に在つてその年数を通算して十年以上になる者の中からこれを任命する。
 判事補
 簡易裁判所判事
 検察官
 弁護士
 裁判所調査官、司法研修所教官又は裁判所職員総合研修所教官
 前条第一項第六号の大学の法律学の教授又は准教授

 普通のルートは,判事補から判事です。最近は日弁連も弁護士任官については力を入れてるようですが,判検交流のある検察官には及んでないのでは?それにしても高裁長官ダケ特別扱いなのは,やっぱ認証官だから?

 続いて判事補についてです。
 
 第四十三条
(判事補の任命資格)  判事補は、司法修習生の修習を終えた者の中からこれを任命する。
 
 判事補の任命資格は限定されてます。司法試験合格+司法修習修了が絶対条件です。

 最後は簡裁判事についてです。

 第四十四条 (簡易裁判所判事の任命資格)  簡易裁判所判事は、高等裁判所長官若しくは判事の職に在つた者又は次の各号に掲げる職の一若しくは二以上に在つてその年数を通算して三年以上になる者の中からこれを任命する。
 判事補
 検察官
 弁護士
 裁判所調査官、裁判所事務官、司法研修所教官、裁判所職員総合研修所教官、法務事務官又は法務教官

 一見すると,判事と同等と思いきや,そうでもないんですね。3年と大幅に短縮されています。で,簡裁判事については,別の規定が存在します。

 第四十五条 (簡易裁判所判事の選考任命)  多年司法事務にたずさわり、その他簡易裁判所判事の職務に必要な学識経験のある者は、前条第一項に掲げる者に該当しないときでも、簡易裁判所判事選考委員会の選考を経て、簡易裁判所判事に任命されることができる。

 裁判所書記官から簡裁判事になるケースというのは多いみたいですが,根拠は,裁判所法45条です。

 弁護士との違いは,学者が優遇されてるトコでしょうか?裁判官の方が,任命資格は厳格じゃないとダメなような気もしますが・・・実際,最高裁裁判官は学者枠が―たぶん―ありますからね
 細かい規定は思い切って省略してますが,結局,司法試験受からないとダメじゃん!っていう場合が結構あります。

 ♪Mr.Children「タガタメ」(アルバム:シフクノオト 収録)

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