2018-09-15

一身上の都合により退社します

 何の前触れもなく,約1年ぶりに突然,書き出した青天霹靂にわか雨です。少し前に,会社を辞めたい人から5万円くらいもらって,その人に代わって会社に退職届出を出すみたいな非弁の香りがプンプンするサービスが話題になりました。非弁かどうかは,ひとまず置いといて,会社を辞める際のルールをまとめておきます。

 労働者が会社を辞める辞職は,原則,自由です。使用者である会社の承諾は不要です。また,辞職の意思表示を撤回することはできません。もっとも,民法に辞職に関する規定があります。雇用(労働)契約には,①期間の定めのない契約と②期間の定めのある契約が存在します。それぞれでルールが異なります。

①期間の定めのない労働契約の場合 
 民法627条により,2週間前に予告することが必要です。ところが,月給制(遅刻・欠勤による控除がない場合)は,辞職は翌月以降に対してのみできて,月の前半に予告をしなければなりません。
 たとえば,月給制で末日が締日の場合,その月の末日までは辞職できず,その月の前半までに予告していれば,翌月から辞職することができます。予告が月の後半になると,翌月の末日まで辞職できないことになります。
 なお,年俸制の場合は,3か月前の予告が必要になります。
 会社によっては,就業規則で労働者に1か月前に予告することを求めるなど2週間以上の予告期間を定めていることがあります。民法の規定よりも長い予告期間の定めが有効かどうかについて,上記のとおり,就業規則の方が予告期間が短くなる場合もあり,そもそも裁判をする実益に乏しく,民法と就業規則のどちらが優先するのか?確立しているとはいえない状況です。

②期間の定めのある労働契約の場合
 期間の途中で辞職する場合は,「やむを得ない事由」がある場合に限って,ただちに辞職することができます。
 契約期間の初日から1年を経過すると,一部の労働者を除いて,いつでも辞職することができます。
 では,「やむを得ない事由」とは,どういった事由なのか?という問題なのですが,紛争になることがほとんどないようで,裁判や学説の議論もほとんどなされていないようです。

 ♪BUMP OF CHICKEN「ギルド」(アルバム:ユグドラシル収録)

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