2010-11-17

大は小を兼ねる?

 先日,裁判員裁判で初の死刑判決が出ました。判決としては,予想通りといったところですが,どこか踏み絵的な要素があったように思います。今回の死刑判決で,今後も予想される死刑求刑の事件に少なからず影響するんじゃないかと思ったりします。
 そんな判決や死刑制度の是非は置いといて,評議についてちょっと気になったというのが,今回の話です。

 裁判員裁判は,裁判官3人と裁判員6人の計9人によって,評議が行われます―というのが,原則―。で,全会一致の結論が出ればいいんですが,そうじゃない場合は,多数決によります。

 (評決)
第六十七条  前条第一項の評議における裁判員の関与する判断は、裁判所法第七十七条 の規定にかかわらず、構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見による。
 刑の量定について意見が分かれ、その説が各々、構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見にならないときは、その合議体の判断 は、構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数の意見になるまで、被告人に最も不利な意見の数を順次利益な意見の数に加え、その中で最 も利益な意見による。

 裁判員法の参加する刑事裁判に関する法律の条文です。多数決については,67条2項の規定によります。ちょと,わかりにくいんですが,9人の意見が,以下のように分かれたとしましょう。
 ①懲役10年(裁判員1人)
 ②懲役8年(裁判員2人)
 ③懲役6年(裁判官2人,裁判員1人)
 ④懲役5年(裁判官1人,裁判員3人)
 ⑤懲役4年(裁判員1人)
 被告人に一番不利な意見は,①の懲役10年で,裁判員1人です。次は②の懲役8年で,この時点で裁判員3人です。その次は,懲役6年で裁判官2人と裁判員4人の合計6人になりました。この時点で,裁判官及裁判員双方の意見を含む過半数に達したので,懲役6年の判決になります。
 「疑わしきは被告人の利益に」の原則からして,被告人の有利な意見から出発するという考え方もありえるところではあると思います。が,現行法のようになったのは,懲役10年の意見の人は,懲役6年も含んでいるので,その限りでは賛成している―わかりにくいが,こうとしか書けないんで―と考えられるからです。大は小を兼ねるんですネ。
 被告人の有利な意見を出発点にすると,懲役4年の意見の人は,懲役5年には反対なんです。なので,賛成票に足してはいけないんですネ―と書くと,割とわかりやすい―。

 で,やっと,閑話休題です。死刑か無期懲役かの判断を迫られた事件で,結果,無期懲役の判決になったとして,死刑の意見の人って,無期懲役には賛成してるんでしょうか?生命刑と自由刑では,質的に異なってるんで,大は小を兼ねれないんじゃ?
 とはいえ,評議の結果は,公表されずに墓場まで持っていくしかないんで,問題になるコトはないんでしょうケド・・・

 ♪Mr.Children「Loveはじめました」(アルバム:IT'S A WONDERFUL WORLD収録)

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