2009-11-12

法律家のヒヨコは羽ばたくのか!?22

 なんだかご無沙汰していましたが,この間めちゃくちゃ忙しかったわけではなく,筆(実際はキーボードではあるが)が進まなかったダケというのが辛いところです。

 閑話休題,今回は,ちょっと邪道な話をしようと思います。憲法32条は裁判を受ける権利を保障しています。なので,誰でも裁判所で裁判を受ける権利があるわけですが,実際は訴えた方(つまり原告)が有利なことが多々あります。
 たとえば,どこの裁判所に訴えるか(土地管轄の問題)であったり,第1回の期日の日程であったりは,原告の都合で決まります。被告は,ある日突然,特別送達で訴状と呼出状が届くのみです。なので,被告としても何らかの抵抗をしたいところです。

 そこで,本案前の抗弁あるいは,本案前の申立てとして移送の申立てをしてみるのはどうでしょう?移送申立てのメリットは,裁判所が何らかの判断をせざるを得ないので,時間稼ぎができるということです。移送申立てが認められればラッキー,認められなければ即時抗告してさらに時間を稼ぐこともできます。原告が本気で訴訟をしたのではなくて,警告的な感じで訴訟をした場合は,取下げるなんて展開もありうるかもしれません(原告側からすると,ただただうっとしいダケ)。
 もっとも,裁判官によっては即時に移送申立てを却下することもあるので,要注意です(特に,時間稼ぎを狙った場合)。

 そいうえば,民訴法1条は,当事者は信義則に従い誠実に訴訟を追行しなければならないと規定しています。なので,単に時間稼ぎの移送申立ては,権利濫用なんじゃないかとも思えてきました。が,管轄は切実な問題(憲法32条もからむと思う)なので,そうでもないんじゃないかとも思います。

 ♪レミオロメン「モラトリアム」(アルバム:ether [エーテル])

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