2016-07-20

そういえば,6%じゃないのと一瞬思ったけど,やっぱ5%だった

 いわゆる労災民訴と呼ばれている事件で,使用者の安全配慮義務違反を債務不履行だと構成して,請求をすることがあります。
 当然,遅延損害金も請求するわけですが,債務不履行構成の場合,そもそもの労働契約は商行為なんだから,遅延損害金も6%なんじゃない?と思ったことがありました。

 ところが,判例も裁判例も,不法行為構成だろうが,債務不履行構成だろうが,遅延損害金の利率は5%です。
 請求自体が5%なんで,判決も5%という事案ばっかなんですが,6%で請求してみたら,どうなんだろう?と思っていたら,こんな裁判例がありました。

 その判決は,名古屋地裁平成21年7月7日判決。債務不履行構成の場合も遅延損害金の利率は5%だと判示した判決です。以下,判示事項の概要です。
 
 安全配慮義務違反の根拠となる雇用契約が商行為だとしても,安全配慮義務の不履行に基づく損害賠償請求権は雇用契約上の債務ではなく雇用契約上の債務と同一性を有するものともいえない。安全配慮義務の履行を怠ったことから別途生じた債務である。
 だいたい,債務不履行に基づく損害賠償の消滅時効は民法所定の10年(商行為なら5年)だといっておきながら,遅延損害金だけ,商事利率を取るのは虫が良すぎるんじゃない?

 判決書では,虫が良すぎるとは言ってませんが,消滅時効との関係は,そう言わんばかりです。言われてみれば,そうですネ・・・グーの音も出ないとは,このことかも
 
 でも,民法が改正されれば,債務不履行構成の消滅時効も5年になるんで,商事消滅時効と同じ期間に(たまたま)なるんで,消滅時効との関係は,当てはまらなくなるぞ・・・

 ♪Mr.Children「Love is Blindness」(アルバム:B-SIDE収録)

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